親権者とは
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成年に達しない子は、父母の親権の服する。
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子が養子のときは、養親の親権に服する。
という二つの原則を決めています。つまり満20歳にならない者は、親権に服さなければなりません。
親権には、身上看護権(子供の身の回りの世話や躾、教育をしたり身分行為の代理人になること)、財産管理権(子供が自分名義の財産を持っていて、法律行為をする必要があるときに、子供に代わって財産の管理をする)があります。
親権者を決めないと離婚出来ない
未成年の子の父母が協議離婚するときは、父母のどちらが親権者人なるかを、夫婦の話し合いで定めなければなりません。離婚届には親権者を記載する欄があり、記入がなければ離婚は認められません。また、子供を育てるための養育費はどちらが払うのか、そして、子供の氏や籍をどうするのかなども決めなければなりません。
子供の出生前に父母が離婚した場合には、母親が親権者になります。ただし、子供の出生後に話し合いで、親権者を変更することができます。
協議で親権者が決まらない場合
協議で、離婚する事事態に争いがなく、親権者を父とするか母とするか話し合いが成立しないときには、家庭裁判所へ親権者を定める調停又は審判の申立をする事になります。
調停の席でも親権の帰属が成立しないときは、ただちに家事審判手続きに移行し(調停申立のときに審判の申立があったものとみなされて)、家庭裁判所が親権者を父か母に定めます。
調停を経ずに審判の申立をする事も出来ます。
しかし、この場合にも、家庭裁判所は、父と母が調停委員会の関与により話し合いをさせることが妥当であると考えるときは、調停に回す事が出来ます。
しかし、一般には、離婚と親権者の指定を分離せず一括して調停の申立をなし、調停不調の時は地方裁判所の民事訴訟手続きにより、判決を求めつことが多いようです。
父・母どちらが有利
審判や判決の場合、父が親権者になる事は、2割から3割程度であり、圧倒的に母親が親権者と指定されることの多いのが実情です。
特に乳幼児〜10歳くらいまでは、母親と一緒に生活するのが自然であると考えられ、80%以上は母親が親権者になっています。15歳以上なら裁判官が子供の意思を聞く事もありますが、子供に決定権はありません。また、親権があるほうが子供を引き取るという決まりはなく、二つの権利を分け、後で変更する事もできます。
監護権とは
子供を引き取る為の通常の方法は親権者になる事ですが、親権者にならなくても子供を引き取る方法があります。
それは、父母の一方を親権者、他方を監護者とする事です。
親権とは子の財産管理権と監護権からなりたっていますが、親権から監護権を切り離す事が出来ます。
監護とは実際に子供を手元において育てる事です。
未成年者の財産管理の必要性は通常は殆どありませんから、その意味では親権という名を捨てて、監護権という実をとる方法も意味があります。
面接交渉権とは
親権も監護権もが取れなかったからといって、子供に会う権利がなくなるという訳ではなく、子供と別れて暮らす親が子供を訪問・面会したり、電話・手紙などで接触するための「面会交渉権」というものもあります。
又、親権は、離婚時に親権者が決まっても後に変更する事が可能で、親権者の状況により子供の将来のことを考えて、もう一度親権者を選定し直すこともあります。